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第7官界彷徨

第7官界彷徨

俳句あれこれ

2009年11月
 長谷川櫂の「俳句的生活」に、イギリス生まれの俳句研究家、R・H・ブライスの英訳が紹介されています。
*旅人と我が名呼ばれん初しぐれ (芭蕉)
The first winter shower
My name shall be
"Traveller".

 「これについて「初しぐれ」がthe first winter showerではなあ、という思いが残る。
 言葉には意味と風味というふたつの要素があるが、言葉の意味を訳す事ができても、言葉の風味を訳すことは難しい。
 今更こんなことをいうのは、言葉や文化が異なっても、何でもわかり合えると安易に思いこむよりは、言葉や文化が異なればなんでもわかり合えるものではないと慎重に構えておいた方がお互いに痛い目をみなくてすむからである。」

 これと同じコーナーに、
*あけぼのや しら魚しろき事一寸 (芭蕉)があって
しら魚は「lancelet」と訳されていて、英語ではそう言うらしいのですが「なめくじうお」の事だそうです。
長谷川櫂は
「日本人が白魚という小さな魚と白魚という言葉から思い浮かべる美しくもはかない印象を英語圏の人々は「lancelet」から感じる事ができるのだろうか。」とも書いています。
 いよいよ、初しぐれの季節になりました。



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